自民党を中心とした新政権は誕生後、デフレ脱却などの経済政策に着手するが、その中で待ったなしの状況に置かれているのが農業への対応だ。日本の食を支えるだけでなく、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの貿易自由化でも「強い農業」が求められる。歴代政権が苦慮した課題にどう取り組むのか、新政権の手腕が試される。
矛盾した政策のツケ
東京都心から約50キロ離れた茨城県龍ケ崎市。見渡す限りの田園風景に、堆肥をまく農機のエンジン音が響く。「この作業が2月ごろまで続く」。横田修一さん(36)は水田約88ヘクタールを運営する大規模コメ農家。来年はさらに作付面積を約100ヘクタールに拡大する。
横田さんは、収穫期の異なる6品種を作付けして最小限の農機稼働にとどめながら農閑期を減らす。収穫したコメは農協を通さずにスーパーなどと直接取引し、数年前からはコメ粉を材料にした菓子販売も始めた。大学卒業直後の就農から14年、工夫を重ね、コスト削減や販路拡大に取り組んできた。