周回遅れの日本
「日本経済の閉塞(へいそく)感や危機感が、企業をアジアの新卒採用に走らせている」。こう指摘するのは、リクルートワークス研究所の豊田義博主幹研究員だ。豊田氏は「日本企業の外国人採用はまだ試行錯誤の段階。
現地大学との関係づくりやインターンシップの実施など、欧米のグローバル企業が当たり前にやっていることができていない」と、日本企業の周回遅れを指摘。「採用活動もグローバル標準に合わせなければ、優秀な人材をとりこぼしてしまうだろう」と話す。
大和総研の井出和貴子エコノミストは「高齢化が進み、労働力人口が減少していく日本にとって、若いアジアの人材活用は重要なテーマ。アジアの成長を日本の成長につなげるには、受け入れ方法や姿勢も再考すべき時期」と、人口構造の面からも必要性を指摘する。
ただ、外国人は企業を渡り歩きながらキャリアを積み、より高いポジションを得ようとする傾向が強い。労使が経営理念をいかに共有するかも課題で、日本企業のさらなる努力が求められそうだ。