【焦点】
ベトナムを含めて新興国でパートナー会社を選ぶには、大変な労力を要する。国が違うため、お互いが考えていることを理解しあい、合意を得るまでに想像以上に時間がかかるうえに、相手企業が果たしてパートナーとして適切な会社であるかの情報が取れない。また、そもそもどのような会社が対象候補となりうるかリストもない。
実際、パートナー選びで失敗した例は多数ある。その原因をみると、(1)スピードを重視しすぎた(2)調査など必要なコストを惜しんだ(3)相手を信頼しすぎた-という点に集約されるのではないか。その失敗が本社の業績に大きな影響を与えてしまった例も少なくない。
プロジェクトが前に進んでいるときは、「もしも」の事象に対して時間とコストをかけることに抵抗を感じるかもしれない。しかし、将来を見据えた必要なプロセスであると思って対応することが、特にアジア進出を検討するには必要だ。
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【プロフィル】白井陽二朗
しらい・ようじろう 政府系金融機関でマレーシア、中国駐在ほか国際部門を経験。2006年からみずほ銀行で一貫して海外投資支援業務に従事。米国公認会計士。