そのため現状の先送り策が継続され、いずれポルトガル、イタリア、スペインから火の手が上がるだろう。すでにポルトガルの国債利回りは6%台前半から7%台で推移している。まだマーケットは問題視していないが、いずれ国民が緊縮財政に不満の声を上げて政権が財政規律を緩めるようなことがあれば、マーケットは敏感に反応するだろう。
日本経済も回復する要素は何もない。安倍政権が目指す脱デフレが実現する保証はない。現在、物価が上がり始めている最大の原因は、ドル高(円安)による輸入物価の上昇である。企業は値上げをもくろむどころか、円安に見舞われながらも値上げを控える努力をしている。
値上げをすれば消費者が消費を控えることが明確だからだ。しかし、4月からの消費増税により、消費者の負担は確実に増える。モノの値段が上がり、消費が冷え込む。目先は財政出動と増税前の駆け込み需要によって支えられているが、来年4月以降は厳しい状況に追い込まれる。日本経済が明るさを取り戻すのは米国からの安価なシェールガス輸入が始まり、エネルギーコストが下がる2017年以降だろう。