「増税しないと日本国債や日本株の相場が急落しかねない」といった欧米メディアの報道姿勢が、安倍首相をすっかり国際包囲してしまった。その背景にあるのは、デフレ圧力を強める増税は、日本の余剰資金を海外に流出させることにつながるからだ。そして、その資金流出は米欧の投資ファンドの利益に直結している。
欧米系メディアは、事あるごとに「日本の消費税増税を予定通り実行せよ」とせき立ててきた。
英国フィナンシャルタイムズ紙(アジア版)は9月13日付の社説で消費税増税を「挑戦するに値するギャンブル」「さいは投げられた」として安倍首相の増税決断を先回りして褒めたたえる始末だった。
米国ウォールストリートジャーナル紙や通信社のロイター、ブルームバーグも来年4月からの消費税率3%の引き上げが決まったと断定したり、「増税しないと日本国債や日本株の相場が急落しかねない」とする市場エコノミストたちの見解をしきりに紹介した。これら海外メディアの報道ぶりにより、増税について慎重だった安倍首相はすっかり国際包囲されてしまったようだ。