日露蜜月、売り込みのチャンス 医療・農業など商機模索 (3/3ページ)

2013.11.16 06:50

「アジア開拓急務」

 新しい動きも出てきた。医療では社会医療法人の北斗が5月、ウラジオストクに遠隔医療などができる画像診断センターをオープンした。日本から磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査装置を持ち込み、がんなどの早期発見に取り組む。農業では北海道銀行が音頭を取り、寒冷地農業技術を売り込む。アムール州で大豆やソバ栽培のプロジェクトを道内の農業関連企業と進めている。

 「ロシア側の期待感は大きいが、ガスと電力の売り込みは課題も多い」。10月初旬に外務省で開かれた「ロシア経済近代化に関する日ロ経済諮問会議」に参加した大手商社幹部はこう嘆く。

 同会議でロシア代表を務めたドボルコビッチ副首相は日本に積極投資を呼びかけたが「そう簡単ではない」という。サハリンの大規模発電所から北海道経由で送電網を引く構想はあるが、海外からの電力調達には電気事業法をはじめ国内法改正議論も必要になってくるからだ。

 日本に秋波を送る背景にはロシア側の危機感がある。これまで歳入の大半をエネルギーで稼いできたが、米国のシェールガス革命の余波で環境が一変。得意の欧州市場を中東カタールに奪われるなど惨憺(さんたん)たる状況で、「アジア市場開拓が急務になっている」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)。

 ロシアの思惑に応え官邸主導で発足した官民連絡会議。政府は、来年半ば以降に予定されるプーチン大統領の訪日など外交日程をにらみつつ、初会合のタイミングを計るが、具体的成果に結びつけられるかが鍵を握る。(上原すみ子)

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