安倍首相は来年4月からの消費税増税を決断したが、中小企業問題の深刻化は避けられないだろう。中小企業は、銀行からの借り入れの返済猶予を受けられた「中小企業金融円滑化法」が期限切れしてしまった状況で、円安に伴う原材料コスト上昇をまともに受けている。そこに消費税増税後の消費需要減の直撃も受けることになるからだ。
金融庁の銀行検査マニュアルで「要管理先」の中小企業は約40万社、銀行にとって不良債権扱いとなる債務は約37兆円に上る。これらの債務はリーマン・ショック後に施行された「中小企業金融円滑化法」で返済が猶予されてきた。
同法が今年3月末で期限が切れた後は金融庁の指導で銀行が破綻処理しないように押しとどめている。だが、今後デフレ圧力が高まると問題企業の先行きが閉ざされるし銀行も持ちこたえられなくなる。
最終的な破綻処理となると、銀行は信用保証協会に不良債権を持ち込んで「代位弁済」させるが、信用保証協会が保険をかけている日本政策金融公庫が弁済額の7割から9割を支払う。