したがって平成バブル崩壊時のような銀行の信用不安にはならないが、財務省系列の日本政策金融公庫が打撃を受け、そのツケは国庫を経由して最終的に納税者に回る。中小企業は日本経済を支え、全企業数421万社の99・7%、全従業員数4297万人の66%を占めている(2009年時点、総務省調べ)。
アベノミクス効果で、実質経済成長率は今年4-6月期で3・8%と回復したが、その恩恵は一部に限られる。財務省「法人企業統計」によると、4-6月期の中小企業(資本金1000万円以上1億円未満)の経常利益は前年同期比で12・5%減、中堅企業は微増、対照的に大企業(同10億円以上)は同49・7%と急回復している(上のグラフ)。
アベノミクスの下での格差拡大の背景について、ゴールドマン・サックス・ジャパンの馬場直彦氏らは、同社発行の日本経済分析リポート(10月9日付)で「大企業と中小企業間での価格交渉力差がある」と指摘している。