「絶対的に足りないのは鉄筋工。そこでの遅れをカバーしようと型枠大工を無理に集めるから、今度は型枠大工が足りなくなる」と、東京都足立区の型枠大工専門工事業者社長は職人不足の構図をそう解説する。人手不足のシワ寄せが、建設生産工程のあらゆる部分に波及しているのだ。
「復興工事と重なる」
「職人不足をカバーするため、ALC(軽量気泡コンクリート)などの工業製品の使用を増やしているが、関東地区の工場は満杯。京都や富山からもトラックで運んでいる」(準大手ゼネコン役員)。そのトラックも「建設労働者の待遇が改善されてきたため、トラック運転手からの転職が増えて、人手不足が進みつつある」(住宅メーカー幹部)という。
建設技能労働者の不足問題はすでに深刻な段階へと進みつつあり、労務単価も大幅に上昇し始めている。それでも「カネさえ出せば、まだ職人は集められるし、何とか工期に間に合わせられる」(ゼネコン幹部)ので、大きな混乱は今のところ起きていない。しかし「問題はこれからだ」(国交省幹部)。