化学合成添加物は、日本国内に急増する、アレルギーをはじめとした現代病の一因といわれています。
TPP関連でもうひとつ。先般、冷凍食品混入問題になった農薬マラチオンに関するルールも見過ごせません。米国産米は国産米に比較して、マラチオンの残留農薬規制が、80倍まで多くても良いということになっています。
日本よりもはるかにルーズな、米国での残留農薬規制を黙認したままで、米国産米の輸入拡大をするなどとは、あり得ない選択肢です。消費者は国や規制に委ねるのではなく、自らの健康は自らが守らなければいけません。
食品業界は、規制上の問題ではなく、消費者の安全安心をより意識した取り組みが求められます。とかく、そのような取り組みは、コストが上がると否定されがちですが、そのような規制以上の安全安心への取り組みは、他商品との比較優位性につながります。
◆利益優先でモラルハザード
多くの時間や努力を負担しても、結果として企業収益にも貢献することになるでしょう。いまの食品業界は、安くて便利な魔法のつえに、過度に依存しています。道徳心に富んだ日本で、経済優先の結果、食品偽装というモラルハザードまで引き起こしているという現実から、われわれは学ばなくてはいけません。
偽装問題は、単なる個人や組織の悪意の問題ではありません。業界や社会構造を見直す必要があります。
グローバル時代を迎え、また食料自給力の低い日本は、海外の利権やビジネスゲームに左右され、結果として食の安全安心が後退するケースが珍しくありません。
福澤諭吉先生が言われたように、経済の語源は、経世済民です。経済の本質は、世の中を安定させて民を救うことであり、決して狐と狸のマネーゲームではありません。