日本橋川に空を取り戻す-。8年前に提言された日本橋川を塞いだ高速道路の撤去問題が東京五輪の開催決定を機にクローズアップされてきた。
再開発の「日本橋再生計画」を進める三井不動産は“水都再生”をキーワードに高速道路撤去の必要性をアピール。老朽化した首都高速の更新が喫緊の課題となり、首都圏の環状道路整備も進むなど撤去実現に向けた環境も整いつつある。
日本橋川を塞ぐように首都高速道路が建設されたのは1964年の東京オリンピックの前年だ。戦災復興による道路整備が計画どおりに進まず、五輪へ向けて都心部の交通混雑を回避するため川や沿岸部などの空間を利用して首都高が整備された。その後、日本の高度経済成長を支える重要インフラとして活躍したが、すでに50年が経過して更新時期を迎えている。
失われた景観
日本橋川から高速道路を撤去しようとの声は、バブル崩壊後の90年代後半から聞かれるようになった。高速道路が美しく快適な都市空間を損なっているとの認識からだ。