「いま改革をやらないと、大阪はよりいっそう、差をつけられる。名古屋にも負けて、埋没すると話す」と懸念する。計画の実行が遅ければ、特区指定を取り消されてしまう。そうなれば、成功した特区と比べられて、ダメぶりだけが露呈してしまう。
2月13日、大阪市内で特区についてのシンポジウムが、ジャーナリストの田原総一朗氏らが役員を務めるNPO法人「万年野党」の主催で開かれた。パネリストとして登壇した作家で元経済企画庁長官の堺屋太一氏はこう語った。
「今は中国から大阪に出稼ぎにきている人がいるが、貧しい大阪から上海に出稼ぎにいくというようなことは起こりえる。『母をたずねて三千里』は、(イタリアから)豊かなアルゼンチンに出稼ぎに行った母親が出てくる話。こんなことはすぐに起きる。日本がその瀬戸際にある」
特区の範囲は都道府県に限らず、例えば「首都圏」や「関西圏」などを広域指定する可能性もある。だが、何かとライバル意識が先立つ大阪や兵庫、京都が歩調をあわせてやっていけるのか。内輪もめで計画が行き詰まる。そんな事態になれば、関西の力はどんどん衰えてしまう。