TPP閣僚会談終了 最大の危機 日米袋小路 牛肉関税 米「数%に」譲歩 日本拒否

2014.4.10 23:19

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が最大の危機に直面した。農産品の関税撤廃問題などをめぐる甘利明TPP担当相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表による閣僚折衝は不調に終わり、交渉参加国の中核である日米交渉が“袋小路”から抜け出せなかった。

 「漂流してしまう」

 日本政府内には、TPP交渉全体の先行きを悲観する声も上がり始めている。

 10日午前8時半から始まった2日目の会談は、終了が当初予定の午後1時から午後3時半にずれ込んだ。前日から2日間にわたって断続的に続けられた会談は「延べ18時間近く」(甘利氏)に達した。対立点の解消に向け「事務方が用意した譲歩案を提示することに時間をかけた」(日本の交渉関係者)ためだ。それでも、妥協点を見出せなかったのは米国の主張が従来と基本的に変わらなかったことが大きい。

 関係者によると、前日夜、フロマン氏との会談を終えた甘利氏が都内で菅義偉官房長官、茂木敏充経済産業相、林芳正農林水産相、岸田文雄外相と会い対応策を協議。甘利氏の報告を受けた閣僚らは米国の強硬姿勢に反発し、「あす、米国の姿勢に変化がない限り、合意は難しい」との認識で一致したという。

 最大のネックとなったのは日本の牛肉市場に対する米国の強硬な市場開放要求だ。日本は今回の会談に先立つ7日、オーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉で現在38・5%の牛肉関税を冷凍品は18年目に19・5%、冷蔵品は15年目に23・5%まで段階的に引き下げることで合意。会談では日本がこの水準を目安に関税を下げる姿勢を示したが、米国は「数%」の水準で譲らなかった。これは、もともと重要5分野の関税維持を交渉方針とする日本にとって到底飲める水準ではなかった。

 米国の強硬姿勢の背景には、11月に中間選挙を控えるオバマ政権が日本の大幅な市場開放を求める米業界団体の意向に配慮せざるを得なくなっている事情がある。日本の政府高官は米国のこうした姿勢が「中間選挙が近づくにつれ強まる」とし、日米交渉の決着はより難しくなるとみる。

 TPP交渉は、参加国の経済規模の8割を占める日米交渉が進まなければ停滞は避けられない状況で、交渉が長引くほど妥結の機運が低下する懸念が強まっている。(本田誠)

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