日米首脳会談では、難航している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、日米協議の進展を強調し、膠(こう)着(ちゃく)状態にある全体交渉の打開を目指す。焦点の関税交渉は日米間の隔たりが大きく、主要論点で一致する「大筋合意」の宣言は困難な見通しだ。だが21、22日に都内で事務協議を開き、首脳会談直前まで、対立する牛・豚肉の関税撤廃・引き下げなどで合意の可能性を探る。日米とも交渉妥結に道筋が付かない「漂流」だけは回避したい考えだ。
事務協議では、18日まで米ワシントンで開いた閣僚折衝を受け、牛肉、豚肉の関税協議や自動車分野を引き続き議論する。主張の隔たりの大きい牛肉は、日本が現行38・5%の関税を19・5%まで引き下げる譲歩案を示しているが、米国は1桁台前半を要求。10%を挟んだ攻防になりそうだ。
オバマ大統領には、担当閣僚の米通商代表部(USTR)のフロマン代表が同行する見込み。8~10日に続く再来日で、首脳会談で日米協議の進展を演出するために万全を期す構えだ。
日米が、ぎりぎりの歩み寄りの努力を続ける背景には、TPP交渉が漂流しかねないとの危機感がある。