輸出拡大シナリオ限界 貿易赤字10兆円大台

2014.4.21 21:11

 平成25年度の貿易統計では、貿易赤字が年度ベースで初めて10兆円の大台を突破した。急速な円安の進展で輸入が膨らむ一方、輸出量は伸び悩み、貿易赤字に歯止めがかからない。国内製造業を中心とした構造変化が進む中、円安誘導による輸出拡大シナリオは限界に来ている。政府は新たな輸出産業の育成などが急務だ。(佐久間修志)

 「(貿易赤字は)緩やかに縮小に向かっていくだろう」

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は21日の記者会見で、過去最大の貿易赤字について、海外経済の回復による輸出の持ち直しなどで改善するとの見通しを示した。楽観論の背景には、かつて貿易黒字を牽(けん)引(いん)した輸出産業への過信がある。

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による円安は当初、原子力発電所の長期停止で増大した火力発電所用の燃料価格上昇を引き起こすものの、やがては輸出増につながり貿易収支を改善するという理屈だ。

 だが、輸出増までのタイムラグとされた半年から1年が過ぎても、円安による輸出拡大効果は鈍いままだ。3月も原油や液化天然ガス(LNG)の輸入が2ケタ台の伸びを示す一方、自動車の輸出は10%未満の伸びにとどまった。

 主因と指摘されるのが「輸出入における産業構造の変化」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)だ。円高時代に家電や自動車などの製造業が生産拠点の海外移転を加速した。円安が輸出拡大につながらないほか、価格が上昇しても、輸入に頼るしかない商品分野が増えている。

 この潮流にあらがうのは難しい。内閣府の「企業行動に関するアンケート」によると、24年に20・6%だった国内製造業の海外生産比率は25年度(実績見込み)に21・6%、30年度には25・5%にまで高まる見通しだ。少子高齢化に伴う生産人口の減少も視野に入っており、企業も国内の設備投資に踏み切れない。

 消費税率引き上げで、国内消費の落ち込みが懸念される中、輸出も伸び悩めば、景気の腰折れを招きかねない。政府は今後、農業などの新たな輸出産業の育成や内需拡大など、新たな成長モデルの確立が求められている。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!