日米両政府は25日、安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談の成果をまとめた日米共同声明を発表した。最大の焦点だった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は大筋合意に至らなかったが、「TPPを達成するために必要な大胆な措置を取る。2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と表現した。甘利明TPP担当相は記者会見で、協議結果について「収斂(しゅうれん)に向かって的確に前進した」と述べた。
首相は25日、官邸で記者団に「日米同盟にとって画期的な声明となった。今後も日米がリーダーシップを発揮し、交渉を妥結していくように他の参加国に働きかけていく」と語った。
日米両政府は、5月20日前後にシンガポールで開催予定の閣僚会合に向けて、近くTPP協議を再開する。自民党の西川公也TPP対策委員長は「5月にベトナムで開かれる首席交渉官会合で詰め切れるとみている」との見通しを示した。
共同声明では、「日米安全保障条約は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含め日本の施政下にあるすべての領域に及ぶ。米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行動にも反対する」とした。尖閣諸島が安保条約の適用対象であることを外交文書に書き込んだのは初めてで、領有権を主張する中国を強く牽制(けんせい)する内容だ。