全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長は8日記者会見し、政府・与党内で浮上している農協改革案にふれ、「一般社団法人化や株式会社化は農業者の結集を崩してしまう」と、否定的な見解を示した。政府は6月に農協改革を含む新たな農業強化策を策定する方針で、JAグループと規制改革会議の改革派などとの駆け引きが白熱しそうだ。
政府・与党内では、全国約700の地域農協の経営の自由度を高めるため、全国組織のJA全中や全国農業協同組合連合会(JA全農)の影響力を緩める方向で検討が進んでいる。
販売や資材購入を担うJA全農は「農家の意欲をそいでいる」との批判もあり、経営効率を高めるため株式会社化も浮上。これに対し、万歳会長は「共同して販売、購入することで価格交渉力が増して農家の所得向上につながる」と述べ、共同購入などを独禁法の適用対象外にできる協同組合形態の維持を求めた。
また、経営指導を担うJA全中を一般社団法人化して各農協から集める負担金を廃止し、地域の特徴を生かす案もあるが、「(各)農協にあった経営、組合員への役割を果たしている。一律的な営農指導ではない」と反論。JA全中は一般社団法人化で会員以外の畜産など「専門農協」への指導義務がなくなることに懸念があるとしている。