G7サミットを主催するEUのファンロンパイ大統領(右)とバローゾ欧州委員長(左)に歓迎され、手を取り合う安倍首相=4日、ブリュッセル(共同)【拡大】
【ブリュッセル=宮下日出男】日米欧などの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は4日夜(日本時間5日未明)、ブリュッセルで開幕した。初日は外交政策について協議し、焦点のウクライナ情勢では、親欧米派の次期大統領への支援を表明する首脳宣言を採択した。ロシアには緊張緩和に向けたウクライナとの協力などを求め、情勢次第で追加制裁をとる用意があると警告した。
また、首脳宣言は、緊張が高まる東シナ海・南シナ海の情勢についても「深い懸念」を表明。中国の海洋進出を念頭に、現状を変更する「威嚇や強制、力を用いた一方的ないかなる試みにも反対する」と強調、名指しを避けながらも中国の動きを牽制(けんせい)した。
また宣言は、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の継続を強く非難。日本人拉致などを「人道に対する罪」と指摘した国連調査委員会の報告を踏まえ、北朝鮮に「速やかな措置」をとるよう要請した。
ウクライナ情勢では、5月25日の大統領選が成功し、ポロシェンコ氏が次期大統領に決まったことを歓迎。「ウクライナとともに取り組みを続ける」として、新政権による国家再建を引き続き後押ししていく方針を確認した。
一方、ロシアによるウクライナ南部のクリミア併合や東部情勢の不安化は「容認できない」と非難した上で、ロシアに対し、(1)大統領選の結果承認(2)ウクライナ国境付近の露軍の完全撤収(3)ウクライナへの武器流入阻止(4)親露派勢力の武装解除への影響力行使-を要求。必要な場合は「さらなる代償を科す」ため、追加制裁に踏み切る用意があると警告した。