金融政策に潜む「量的緩和のワナ」 リチャード・クー氏が警鐘 (4/9ページ)

2014.6.22 07:07

 一方、安倍内閣が構造改革として掲げる岩盤規制の撤廃やTPP(環太平洋経済連携協定)はいずれも借り手を増やす政策である。その意味で、アベノミクスに盛られた規制緩和は「正しい方向に向かっている」のだ。

 量的緩和に効果なし。海外投資家が誤解

 アベノミクスの真骨頂は量的金融緩和による円安と株価上昇であると信じられ、実際にマーケットは株高と円安に大きく動いた。しかし、クー氏によれば「量的(金融)緩和が機能する理由がまったくない」という。

 日本の企業や家計に借り手が少ないことは前述の通り。借入金の少なさは、銀行から資金が出ていかないということを意味する。こんな状況で中央銀行が大量の資金を供給しても、銀行までは資金が届くが、そこから先に行き渡るはずがない。「この点に、ほとんどの学者やマスコミ、政治家が気づかない」が、毎日この問題と直面している人たちもいる。それは日本の機関投資家だ。

 日本の金融機関は毎年、GDP比で8%もの巨額マネーを預かるが、運用しようにも民間には借り手がいない。このため、2013年4月の異次元緩和後も国内機関投資家は株をさほど買わず、円を売らず、資金を債券市場にとどめていた。借り入れ需要がなく、金融緩和で景気がよくなる理由がないと考えれば、「きわめて合理的な選択だった」。

「なんだかよくわからないが、すごいことになりそうだ」程度の期待で買った海外投資家

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