島嶼国支援で中国の「第2列島線」にくさび

2014.7.10 23:38

 安倍晋三首相は日本の首相として中曽根康弘氏以来29年ぶりにパプアニューギニアを訪れた。日本人になじみの薄そうな同国を訪問先に選んだのには、海洋進出を強める中国の存在がある。中国は伊豆諸島からグアム、サイパン、パプアニューギニア付近を結ぶ「第2列島線」を太平洋に設定。防衛ラインの拡大を図っており、日本としてもパプアニューギニアなど太平洋島嶼(とうしょ)国との関係強化で中国を牽制(けんせい)する狙いがある。

 「今回の訪問を契機に両国関係を一層発展させ、太平洋地域の平和と繁栄のために、両国で協力しながら貢献していきたい」

 安倍首相は10日夕、パプアニューギニアのオニール首相との首脳会談後の共同記者発表で、こう述べ、太平洋の島嶼国支援に力を入れる考えを強調した。

 会談では、日本主導で太平洋の島嶼国・地域の首脳らが一堂に会する「太平洋・島サミット」の取り組みを強化する方針で一致。安倍首相は、島嶼国への経済支援や人的交流などを強化し、日本の友好国を増やしたい考えだ。

 太平洋島嶼国をめぐっては、中国が対米防衛ラインの第1列島線(九州~沖縄~台湾)内の制海権を確保した上で、第2列島線まで勢力拡大を狙う。中国がこれらの国々へ政府庁舎の建設援助などを行っているのもその一環で、いずれ海洋権益をめぐり太平洋島嶼国の周辺で米国と中国の衝突が起こる可能性もある。

 今回の首脳会談で、安倍首相はパプアニューギニアに今後3年間で200億円規模の政府開発援助(ODA)供与を表明した。今後はODA大綱の見直しの動きも踏まえ、災害救援など非軍事目的の他国軍支援といったODAの戦略的活用も必要となりそうだ。(ポートモレスビー 桑原雄尚)

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