◆村ぐるみで学校建設
日本財団からラカイン州における学校建設の助成金を受け、2012年からの5年計画で100校の小学校建設を目標に事業を開始した。このプロジェクトの特徴は、子供たちが安全に学べる環境を提供するだけではない。毎年発生するサイクロンや洪水被害を想定し、屋上に避難できる構造や高床式構造を取り入れ、車いすのためのスロープを設置した校舎もある。村にはコンクリート製の構造物はなかったので、災害時に避難する場所ができた。
もう一つの特徴は、BAJがこれまで行ってきた住民参加によるOJTに基づく人材育成だ。訓練生として建設に参加した村人が、次の現場では「セミ熟練労働者」として作業に参加する。実地訓練を重ねて熟練労働者へと成長し、やがては国土開発のための建設事業に貢献することができる。この事業はミャンマーの僻地(へきち)に鉄筋の立派な校舎を建設するだけでなく、地域住民の将来に可能性を与える人材育成の事業でもある。
学校建設現場では、住民参加をどのように進めているのだろうか。BAJは最初に村の住民との話し合いの場を設け、役割分担を決める。校舎とトイレはBAJが建設し、教室の机と椅子の調達や学校敷地を囲うフェンスの設置は村の人たちの自助努力に委ねる。
ある小学校の女性校長が建設事業に積極的に取り組んだ事例はとても個性的だ。自分たちで準備すると約束した資金を集めるために、同僚の先生たちと話し合い、1枚500チャット(約50円)の宝くじを販売して、その売り上げでフェンスを完成させたのである。