厚生労働省が31日発表した6月の毎月勤労統計(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの基本給など所定内給与は前年同月比0.3%増の24万3019円で、平成24年3月以来、2年3カ月ぶりに増えた。景気回復を受け幅広い業種で賃上げが広がっていることを反映した。
所定内給与が増加に転じたことについて、厚労省は「春闘の賃上げ効果で、これまでの減少傾向が底を打った可能性がある」と指摘。ただ、パートタイム労働者の集計結果が盛り込まれる確報段階で下方修正される可能性もあり、「慎重に見極める必要がある」としている。
全ての給与を合わせた現金給与総額も0.4%増の43万7362円で4カ月連続で増加した。一方、物価変動の影響を加味した実質賃金指数は3.8%下落。4月の消費税率引き上げによる物価の押し上げにより、3カ月連続で3%超の大幅下落となっている。政府の描くシナリオ通りに内需が牽引する形で今後景気が回復するかは、賃上げが物価上昇に追いつくかが焦点となりそうだ。
残業代などの所定外給与は、1.9%増の1万9058円。15カ月連続で増加したものの、消費税増税後、自動車など製造業の生産活動が鈍り、残業時間が減った影響で伸びは前月の4.0%増から鈍化した。