【ワシントン=小雲規生】アルゼンチンの債務返済問題をめぐり、同国と過去の債務再編に応じていない米ヘッジファンドとの交渉は30日、合意できないまま終了し、アルゼンチンの債務不履行(デフォルト)は不可避となった。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は同日、アルゼンチン国債を一部債務不履行を示す「SD(セレクティブ・デフォルト)」に格下げした。
デフォルトによる信用低下は通貨ペソの下落やインフレを招き、アルゼンチン経済への打撃が懸念される。ただ、国際的にみると、同国の国債の保有先は多くなく、世界経済への影響は限定的とみられる。
アルゼンチンが2001年に破綻した際、債権者の約9割は債務削減に応じ、新たな国債を受け取った。アルゼンチンは新たな国債の利払いを続けていたが、債務再編を拒否した米ヘッジファンドは全額返済を求めて提訴。米裁判所は6月、投資ファンドに全額返済しない限り、他の債権者への利払いを認めないとの判断を下した。
債務再編に応じた債権者に対する今回の利払いの猶予期限は30日。アルゼンチンは同日までに債務再編に応じるようファンドに要請。他の債権者からも全額返済を迫られることを懸念したためとみられるが、ファンド側は拒否し、物別れに終わった。
アルゼンチンのキシロフ経済財務相は記者会見で、利払いの資金を米ニューヨークの銀行に預け、債権者への振り込みを依頼していることから「デフォルトしていない」と強調。これに対し、米裁判所が指名した調停人は協議終了後、「アルゼンチンは直ちにデフォルトに陥る見通しだ」とする声明を発表した。S&Pは利払いが実施されれば、格付けを引き上げる可能性が高いとしている。