【日曜経済講座】ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇
新年度が秋口から始まる米国では、最高裁の判決分析から店舗売り上げ調査まで、夏休み前に旧年度を総括し、新年度を展望する社会慣行がある。マンハッタンにある証券アナリスト協会でも、8月初めに新年度以降の株式相場を予想する会合を開くのが毎年恒例となっている。
「急に上場投資信託(ETF)から資金が流出した。売買高も減っている」
「基礎条件は改善しているが、経済が加速的に良くなるとは予想していない」
7日に開催されたアナリスト協会の相場予想会合では、出席者の強気・弱気が半々で、昨年と比べると、弱材料を強調する向きが増えた。リスク要因の震源地として共通認識を持たれているのが、「米連邦準備制度理事会(FRB)の短期政策金利、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げ時期」である。
米ウォール街が金利上昇を視野に入れ始めた。来年の半ばがFF金利引き上げのコンセンサスだが、「(同じく量的緩和してきた)英イングランド銀行が年内にも金利引き上げに動き、FF金利上げも予想以上に早まる可能性がある」(英バークレイズの主任米国エコノミスト、ディーン・マキ氏)という。