高齢化が進む中、60歳以上のシニア層による消費市場は年間1兆円ずつ拡大していくとニッセイ基礎研究所は試算する。市場規模は約100兆円とされ、家電以外でも、簡易な操作を持ち味とする携帯電話を商品展開するなど、メーカー各社はシニア市場を狙った工夫をこらす。
同研究所の前田展弘研究員が国の各種統計から、60歳以上の年間消費支出額に人口を掛け合わせて算出したところ、シニア消費市場は平成24年に100兆円を超えた。60歳以上の人口増加分などから計算すると1年で1兆円ずつ市場が拡大し、42年には家計消費に占める60歳以上の割合は49・3%と、消費のほぼ半分となる。企業がシニア市場に注力するのは「顧客の年齢層が高くなっていくため当然」(前田氏)だが、東アジア各国でも高齢化が進んでおり、前田氏は「日本企業は国内のノウハウを海外展開できる」と指摘する。
一方、年金などの社会保障制度に不安があれば「シニア層が安心して貯蓄を消費に回せない」(みずほ銀行産業調査部の白木康司次長)との指摘もある。シニア消費をめぐる環境はバラ色ばかりではない。