テイン・セイン政権発足から3年余りが経過し、これまであまり目立たなかった米国が、ミャンマーへの投資を本格化する動きを見せ始めた。今月に入って米政府は、ミャンマー第2の都市、マンダレーで同国初の太陽光発電プロジェクトを進めると発表した。米国はこれまでミャンマーの旧軍政に関係した企業や人に対する経済制裁を続けてきた。このため、米国に関係する企業は直接投資を抑えてきた。しかし、2015年の総選挙後を見据えて、本格進出に向けた体制づくりに入ったようだ。
◆電力不足に貢献
地元紙ミャンマー・イレブンなどによると、米ニューヨークに拠点を置くACOインベストメントグループは8月末、ミャンマー電力省と、マンダレー郊外に15万キロワットの太陽光発電設備2基を建設することで合意。フロマン米通商代表部(USTR)代表の立ち会いの下、総額4億8000万ドル(約520億9400万円)に上るプロジェクトについて合意書に署名した。
ミャンマーでは現在、水力、火力発電を使い、330万キロワットの電力を発電している。内訳は水力が76%、天然ガスが21%、残りが石炭。太陽光発電所が完成すれば、現在の発電量の10~12%に当たる。特に降水量が減る乾期の電力不足に貢献すると期待されている。
「貿易と投資を促進することで、われわれは両国の労働者と企業に、多くの収入をもたらすだけでなく持続可能な発展を遂げ、より多くの機会を与えることができる。その恩恵を共有するには通商こそが重要だと知っているからだ」
署名式に際し、フロマン氏はこう宣言し、今後、米国はミャンマーとの通商関係をさらに推し進める方針を強調した。
ミャンマーでの太陽光発電事業は、これまでタイの企業が提案するなどしているが、いずれも実現に至っていない。それだけに、今回の米国のプロジェクトに対するミャンマー側の期待は高い。