今回の増税後の消費の落ち込みや実質収入の減少、鉱工業出荷の減少や在庫の増加傾向は1997年度の消費税増税後をかなり上回っている。筆者が信頼を置く数少ないアナリストである片岡剛士三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員は、今回の増税後の景気回復過程は「L字型」を示唆すると指摘した。
つまり、需要は落ち込んだまま停滞を続け、来年以降にも及ぶ可能性があるという。前回増税の場合は1998年以降の慢性デフレを招いてしまった。以降、所得税収と法人税収は大きく落ち込み、その減収分が消費税増収分をはるかに超えて財政が悪化して、現在に至る。
折しも、安倍内閣への支持率はフジテレビ系の世論調査では不支持と同水準まで下がった(7月21日付産経新聞)。「集団的自衛権容認」への反発もあるだろうが、景気回復が浸透していなければ、不支持はさらに広がりかねない。アベノミクスは安倍首相の強力な指導力そのものである。その指導力は世論の高い支持率に支えられてきた。アベノミクスが挫折すれば日本の未来は閉ざされると懸念する。(ネットマネー 田村秀男)