財務省は4日、平成27年度予算編成の焦点である地方交付税の「別枠加算」について、即時廃止を求める方針を固めた。地方の債務残高がこの10年増えていないことや、景気回復に伴い地方税収が伸びているのを踏まえた措置。ただ、安倍晋三政権は地方経済の本格回復を目指す「地方創生」を重要課題に掲げており、各自治体へ予算の積み増しを求める総務省との調整は難航しそうだ。
7日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会で提言する。別枠加算については、アベノミクスに伴う景気回復を踏まえ、財務省が26年度予算編成で全額撤廃を要求したが、地方経済への配慮を求める総務省が反発。結局、前年度比4千億円減の6千億円を計上した。
国と地方の債務残高の推移を比べると、国は16年度末の531兆円から26年度末(見込み)に811兆円と280兆円増えたのに対し、地方は約200兆円で10年前からほぼ横ばい。
財務省はこれを国が国債発行の形で借金をし、地方に別枠加算など交付税を余分に積み増してきたためだと主張。地方税収もリーマン・ショック直後の21年度の35兆3千億円から、27年度は約40兆円に伸びる見込みで、国の財政の立て直しのためには危機対応として導入した別枠加算は「速やかに廃止する必要がある」としている。
財務省は別枠加算と同じ21年度に景気対策として導入された「歳出特別枠」についても、「存続させる合理的な理由は見いだせない」として廃止または大幅な縮小を求める。
地方交付税などを財源に各自治体の裁量で使える単独事業(26年度で14兆円)についても使途の内訳があいまいだと批判。国の補助事業と同様に事業の中身を開示し、歳出の効率化を要求する。