安倍晋三首相がとりまとめを指示した経済対策の原案が20日、分かった。急速に進む円安に伴うエネルギー価格高騰対策や、子育て世帯の膨らむ家計負担を軽減するのが柱で、地方自治体が実情に応じて自由に使える臨時の交付金を平成26年度補正予算に盛り込む。4月の消費税率引き上げ後に消費が落ち込んでいる自治体に交付金を重点的に配分し、地域経済の底上げを図りたい考えだ。
経済対策は、7~9月期の国内総生産(GDP)が実質で前期比年率1・6%減と2四半期連続のマイナス成長になったことを踏まえ、低迷が長引く個人消費のテコ入れに即効性のある事業を優先する。
具体的には、エネルギー価格をはじめ物価上昇への対策を講じる自治体に対し、国が臨時の交付金を設けて事業を支援。3人以上の子供がいる世帯への家計を支援する事業の助成のほか、自治体による地域商品券の発行を支援する。
また、寒冷地のガソリンや灯油の購入費のほか、農林水産業や運送業などを対象に燃料購入費を助成。中小企業の資金繰り支援や長期固定型の住宅ローン「フラット35」の金利優遇幅拡大なども盛り込む。
「ピンポイントで消費を刺激する」(内閣府幹部)ため、交付金の配分は消費の持ち直しが遅れている自治体に重点配分する。交付金の限度額は人口や財政力を基準に設定し、財政力の弱い自治体やエネルギー価格高騰の影響を大きく受けている地域には手厚く配分する。
自治体が事業計画を策定し、内閣府が即効性や消費喚起に有効かどうかを判断して予算計上する。
安倍首相は最重要課題に地方創生を据えており、経済対策は市町村が自由に使える交付金を設け、地方活性化を目指すことにした。