日銀は10月31日、大方の予想外となった追加金融緩和を決めたが、25日に公開された金融政策決定会合の議事要旨でその内容がつまびらかになった。黒田東彦総裁を含む政策委員9人のうち4人が反対する“薄氷”の決定だった。反対派の委員が「追加緩和の効果は、それに伴うコストや副作用に見合わない」と指摘するなど、激しい応酬も明らかになった。
■原油安リスクが引き金
9人の政策委員のうち、賛成したのは正副総裁と宮尾龍蔵、白井さゆりの両氏の5人。反対したのは木内登英、森本宜久、石田浩二、佐藤健裕の4氏だった。
この日の決定会合では、多くの委員が原油価格の大幅な下落が物価の下押し圧力として作用していることに注目。賛成した委員は原油安が続いた場合、「デフレマインドの転換が遅延するリスクが大きい」として、このタイミングでの追加的な金融緩和を主張した。1人の委員は「このことは、年末から来年にかけて、企業が事業計画を策定したり、賃金交渉を行う重要な時期であることを踏まえると、特に重要である」と付け加えた。
また、ある委員は「(今回の追加緩和によって)平成27年度下期には、2%の物価安定目標の安定的な達成が十分視野に入る。その時期には、出口戦略の議論が開始できる状況になる可能性もある」などと述べた。「企業収益や雇用・賃金などに対してこれまで以上にしっかりとした効果を発揮していくことが期待できる」と述べた委員もいた。