5日の東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル=120円台まで下落した。日銀が10月末に追加金融緩和に踏み切って以来、10円以上も円安が進んだ計算だ。輸出企業にとっては業績が改善するなどの恩恵がある一方、家計や中小企業には輸入品の値上げが重荷になる。日本経済にとって功罪併せ持つ円安だが、ピッチの速さに、家計も企業も対応に苦慮しそうだ。
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為替相場は9月から急速な円安が進んでおり、自動車や電機など企業業績が大きく改善される期待は高い。大和証券によると、円安による企業業績への影響度は、10月以降の平均為替がドルとユーロともに1円円安になった場合、平成26年度の金融を除く主要200社の経常利益を0.3%、27年度を0.7%押し上げる。
仮に、10月以降の平均為替レートが1ドル=115円、1ユーロ=145円になった場合の26年度の経常増益率は11%増、1ドル=120円、1ユーロ=150円まで円安が進行した場合は13%増になると予想している。
大和証券は「現行の為替水準の定着や一層の円安で、輸出の増加や国内への生産回帰の動きが出てくる局面が近づいてきた」とみている。大手企業が生産回帰に踏み出せば、中小の部品メーカーなど裾野にも波及する可能性は高い。