高齢者雇用の充実も必要だ。引き上げが決まったとしても即座に実行に移せるわけでない。人生設計に多大な影響を及ぼすため、何十年もかけて進めざるを得ない。
一方、少子化対策は2042年の勤労世代を増やそうというものだ。しかし、こちらも一足飛びには行かない。生まれた子供が成長して働き始めるのに、20年近くの年月が必要だからだ。
政策で産みやすい環境を整えることができたとしても、最終的に結婚、出産するかどうかは国民の判断である。
いまや日本の少子化は“危険水準”にある。厚生労働省の推計によれば、昨年の出生数は約100万1千人と過去最低を更新しそうだ。1千人程度の誤差は想定され、100万人を割り込んでいる可能性もある。政府が対策に乗り出したからといって、ただちに社会の雰囲気が変わるわけでもない。