湯川遥菜さん殺害を伝える画像の音声が拘束前の後藤健二さんの声と酷似し、後藤さん本人とみられることが25日、声紋を分析した専門家への取材で分かった。
■他人なら2カ所程度の一致点、10カ所も
犯罪捜査の音声分析に携わってきた音響研究所の鈴木松美所長(74)によると、拘束前に後藤さんが「何か起こっても責任は私自身にあります」などと日本語と英語で話していた動画と、今回の画像を分析。英語で「ケンジ・ゴトウ」と名乗る部分だけで語尾が上がる点など10カ所の特徴が一致したという。他人の場合は2カ所程度にとどまるといい、鈴木所長は「99・9%、後藤さん本人の声だ」と分析する。
■棒読み「文章読まされ、内容は本心でない」
拘束前は「ケンジ・ゴトウ」と話す部分が0・8秒だったが、緊張からか、今回の動画は0・5秒に。全体的に抑揚がない一方、言いよどむ部分も少なく、「文章を何度も練習した上で読まされているのではないか。棒読みのため、文章の内容は本心ではなく、非常に気持ちが沈んでいるようだ」と分析する。
ただ、妻の名前を読み上げるときは、他にはない変化が声色や話す速度にみられたといい、「感情を抑えきれなかったのだろう。他にはない動揺が見えた」と後藤さんの気持ちをおもんばかる。