政府は10日、復興推進会議(議長・安倍晋三首相)を開き、2016年度以降の東日本大震災の新たな復興財源について議論を始めた。ただ、被災自治体は同年度以降も国の全面支援を求めているのに対し、政府は国の厳しい財政を背景に被災自治体の一部負担を目指す考えで、対立が鮮明になっている。
11年度から15年度の集中復興期間の総事業費は26兆3000億円に達する見込み。この財源をまかなうのは復興増税で、所得税は13年度から37年度まで税率を2.1%引き上げて7兆3000億円を確保する。個人住民税は14年度から10年間、1人当たり年間1000円多く徴収する。さらに、政府は今秋にも上場する日本郵政株式の売却益を4兆円見込む。15年度までの復興財源は国の収入を先食いする「異例の対応」(麻生太郎財務相)でしのいでいる状況だ。
16年度以降の復興費用について、福島県は3兆9000億円、宮城県は2兆5000億円、岩手県は1兆7000億円必要と試算する。宮城県は国の全額負担がなくなれば、今後5年間で県と市町村が計5100億円の新たな借金を抱えるとし、「財政規模の小さい市町村は破綻しかねない」(震災復興推進課)と訴える。