【ボアオ(中国海南省)=山本秀也、台北=田中靖人】台湾の蕭万長前副総統は28日、海南省ボアオ(博鰲)で中国の習近平国家主席と会談し、中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加したいとの意向を伝えた。
会談は「ボアオアジアフォーラム」年次総会の開幕式前に短時間、立ち話で行われた。蕭氏は、中国がユーラシア大陸の内陸と沿岸で進めるインフラ整備「一帯一路」構想にも期待を示した。
台湾メディアによると、中国で対台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の張志軍主任は会談後、記者団に、台湾のAIIB参加を「歓迎する」と述べる一方、「正式な加入申請は受けていない」とも語った。
台湾の馬英九総統は27日付の台湾紙、中国時報の取材に対し、参加の理由について「両岸(中台)関係への考慮」を挙げ、台湾は「傍観すべきでない」と述べた。また、AIIBの投資対象がアジア太平洋となることから、台湾が将来、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟する上で「プラスになる」とした。中国との連携姿勢を示すことで、台湾がTPPなどに参加する際、中国からの妨害を避ける狙いもありそうだ。
一方、台湾では、参加資格や名称についても関心が高い。蕭氏は28日、各国・地域が平等な立場で参加することが望ましいと述べており、今後、中台の意見が食い違う可能性もある。