人口が多く消費市場も大きい中国などの新興国では、経済成長とともに食生活の多様化が進みバターの需要が増えている。穀物などに比べてバターの世界貿易量はもともと小さい。このため、中国などの消費国が買いに入れば暴騰するし、豪州などの供給国が干ばつで減産になっても暴騰する。
日本の業者が買い負ける事態も珍しくない。生産者団体の中央酪農会議・業務部の寺田繁部長は「世界のバターの生産量は消費量に追いついていない」と話し、自由化したとしても必要なときにいつでも必要量を輸入できるのだろうか、と懸念を示す。
国内の酪農家をどうするという問題もある。欧米や豪州は「輸出」を調整弁にしている。生乳が余ったら脱脂粉乳やバターに加工して海外向けに輸出し、足りなくなったら輸出を減らす。だが農水省生産局は「日本の乳製品は欧米ブランドのような競争力がない。譲歩したら国内がガタガタになってしまう。現行措置がベスト」と強調する。