【論風】産学官金連携で地方創生を 知財評論家(元特許庁長官)荒井寿光 (2/3ページ)

2015.4.16 05:00

 ◆特許の無料提供

 トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)の特許を無料提供すると発表して話題になった。大学は、従来その研究成果としての特許を有料で提供してきたが、あまり企業に使われず、地元の雇用を生み出していない。大学特許を地元企業に無料で提供すれば、実用化が進む。大学特許は、企業から見れば魅力的だがリスクも高い。実用化へ追加開発が必要で、大学に特許の使用料を払うことに躊躇(ちゅうちょ)している企業が多い。

 国立大学法人の財産を無料で民間に使わせるのは問題だという反対意見もある。大学の研究成果は論文と特許という2つの方法で社会に還元される。論文は社会に技術情報を無料で提供しており、特許も無料で提供してもおかしくない。大学は工場や営業部門を持たないので、自分で実用化することはできない。企業に実用化してもらわない限り、社会の役に立たない。特許を有料で提供すると言って誰も使わないより、無料で提供して使ってもらい、「しごと」を作る方が社会の役に立つ。

 「産業は学問の道場なり」という本多光太郎元東北帝大総長の名言がある。大学の研究成果が企業により実用化されれば、実社会のデータが集まり、さらに良い研究に進む。

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