アートとデザインの2つはよく比較され語られる。アートは問題提起に優れ、デザインは問題の解決に威力を発揮する。今週はじまったミラノのデザインウィークを見学しながら、その2つの違いと強みをより認識した。
今年のデザインウィークは5月から始まるミラノ万博の前哨戦的な色彩があるが、万博のテーマは食である。食がいろいろなアングルから話題になる時代である。そこで食からアートとデザインを考えてみよう。
なぜ食が関心の対象になるのか?
一つは飽食の時代における「より楽しみのあるライフスタイル」を探るパターンである。違った文化圏の食材と食べ方への探求は、この方向の延長線上にある。各国の大都市において外国料理とフュージョン料理のレストランが目立つのが一例だ。
もう一つは近い将来に予想される食糧危機を踏まえた動きだ。世界の人口増にあわせて現在のような食習慣を維持するのは難しい。新しい食糧供給とライフスタイルを考えていかないといけない。国連が進める昆虫食の研究は、このカテゴリーに入る。
先週、万博をテーマにしたシンポジウムに参加した。主催は環境や農業をコアとする団体である。その議論を聞きながら、今回の万博が地球環境の持続性や食をテーマとしている背景がより理解できた。
まず何よりも前述した2つ目の動き、つまり食糧危機への立ち向かい方がすべての問題意識の前提にある。この文脈が分かると、食に対するどの提案が無用の長物であり、どのアイデアをカタチにすべきなのかが自ずと見えてくる。
これはロジックの次元の話である。