中国主導ではアジアが荒れる AIIBへの“甘い幻想”を斬る (1/4ページ)

2015.4.19 07:15

 ■【日曜経済講座】編集委員・田村秀男

 国力を高めた国の資本が発展の遅れた国の開発に乗り出すとき、自国のやり方をそっくり相手国に持っていくのが常である。

 十数年前のことだが、インドに進出したスズキを訪ねたら、幹部も平社員も同じ部屋、フロアで働き、社員食堂で歓談する。日本型経営が移植、身分差別の厳しいカースト制は一掃、経営は順調、地域経済も潤っていた。

 中国も最近はアジアを中心に直接投資を急増させているが、どうなっているのか。

 ラオスの中国国境に近い町・ボーテン。ラオス政府は2002年にこの区域をそっくり「経済特区」として、租借期間基本30年、60年間延長条件付きで中国資本に提供した。現地住民はよそに強制移住、特区内の通貨は人民元、言葉も案内板も中国語、時間は北京標準。主体は中国系カジノ・ホテル資本である。

 アジア開発銀行の融資を受けて、07年に中国・昆明とタイ・バンコクを結ぶ国道3号線が開通。街道沿いのボーテンには中国から賭博客が殺到、さぞかし繁栄と思いきや、ラオス当局は11年にはカジノを閉鎖した。犯罪激増のためだ。以来、町全体がゴーストタウン(中国語では「鬼城」)と化した。

人々は中国製品を買うために、人民元を得ようと懸命になる

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