【ユーロ経済学】「露カード」切り札にならず ギリシャ、中途半端な接近 (1/3ページ)

2015.4.20 05:00

モスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領(右)と握手をするギリシャのチプラス首相。ロシア側はエネルギー分野などでの協力を表明した=8日(AP)

モスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領(右)と握手をするギリシャのチプラス首相。ロシア側はエネルギー分野などでの協力を表明した=8日(AP)【拡大】

 欧州連合(EU)と金融支援をめぐる交渉が難航するギリシャが「ロシア・カード」を切った。チプラス首相は今月上旬の訪露時に、プーチン大統領と経済関係の強化で合意した。「他の選択肢」をちらつかせ、EUを揺さぶるのが首相の狙いといわれる。ただ、その成果は限定的との見方もあり、ギリシャの綱渡り状態が続いていることに変わりはない。

 ◆成果に乏しい会談

 「さまざまな分野での協力について話し合った」。プーチン氏が8日の会談後、記者団にこう語ると、隣に並んだチプラス氏は強調した。「ギリシャは主権国家だ。多重の外交政策をとり、地政学的な役割を利用する権利を持っている」

 両首脳は2015~16年の「共同行動計画」に署名。露側はエネルギーやインフラ整備などの分野で協力を図る考えを示し、共同事業には融資を通じて支援する用意も示した。黒海経由でトルコに向けた天然ガス・パイプラインの建設計画への参加を呼びかけ、ギリシャは検討する意向も表明した。

 財政再建中のギリシャは2月にEUと金融支援延長に合意したが、残る72億ユーロ(約9200億円)の融資実行の条件となる財政改革案をめぐる交渉が膠着(こうちゃく)している。ウクライナ情勢でEUと対立するロシアに接近するのは、EUに圧力をかけるためとされる。チプラス氏は両国関係の「春」が訪れたとも強調した。

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