【論風】日本の安全保障への提言 海外企業買収で防衛産業強化 (1/3ページ)

2015.5.14 05:00

元米国務省国務次官補代理スティーブン・ガンヤード

元米国務省国務次官補代理スティーブン・ガンヤード【拡大】

 □米アヴァセント・インターナショナル社長(元米国務次官補代理) スティーブン・ガンヤード

 安倍晋三首相は日本の指導者として過去に例のない変化を目指している。防衛や安全保障面の役割拡大もその一つだ。安倍首相は日本だけでなくアジア全体の利益を守り、規範に則した国際秩序を強化するために、日本が主導的役割を果たすべきだと考えている。

 ◆中国の能力に後れを取る

 ただ、現在の日本は物理的な防衛力の取得で他国に過剰に依存している。数少ない日本の国産装備はどれも世界的水準だが、困ったことに、その多くは質量ともに中国の能力に後れを取りつつある。大幅な防衛費増加が見込めない中、日本の防衛産業が中国のような増大する脅威を抑止する新たな能力を開発できる可能性は極めて低い。

 それでも、強固な防衛産業基盤をベースに戦略的抑止を構築する別のアプローチがある。これにより日本は、費用を全くかけることなく、世界規模の国防産業としての地位を、いわば「買い取る」ことができる。それは、企業の吸収・合併、そして国防関連の知的所有権購入というアプローチだ。

 このような状況の中、日本企業の経営者の大多数は昨年、「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」が制定され、輸出規制が緩和されたにもかかわらず、防衛部門を「政府に管理されている事業部門」とみなしてきた。防衛装備の輸出や投資に関する明確な政策がない現状では、投資や事業拡大のリスクに見合う経済的見返りはほとんど見込めない。

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