【上海株暴落】党による市場支配が株暴落の元凶 異常水準の信用取引 (2/2ページ)

2015.7.4 21:29

株価ボードの前を通り過ぎる投資家=3日、上海市(ロイター)

株価ボードの前を通り過ぎる投資家=3日、上海市(ロイター)【拡大】

  • 上海株価信用取引

 カネはどうか。中国の現預金総額は14年末約2400兆円で、米国の1・7倍、日本の2・7倍に上る。東京銀座など海外にとっては「爆買い」さまさまだが、本国でカネが回らない。そこで習近平政権は株価を引き上げ、個人投資家のカネを引きつける策に転じた。人民銀行は株価上昇を公言して利下げし、人民日報など党直属メディアが株価上昇をはやし立てる。

 原動力は投資家が借金して株を買う「信用取引」である。利下げのたびに株の信用買いが飛躍し、株価が連動する。国有企業が圧倒的に多い中国の上場企業が発行した株式の大半は市場で売買されない。流通株の時価総額に対する信用買い比率は15%以上に上り、日本のバブル期の数倍以上だ。

 党が支配する企業も信用取引拡大と並行して、新規上場や増資などを通じて株式市場から資金調達する。株式市場はまさに党の利益のためにある。経済実体から大きくかけ離れた株価はバブルである。皮肉なことに党が呼び込んだ外資が崩壊の引き金を引いた。

 習政権はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に続いて、人民元を国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR(特別引き出し権)」の構成通貨組み込みを狙う。元がドル、ユーロ、円、英ポンドと同じ国際準備通貨となると、元での貿易や投融資が世界で受け入れられやすくなり、対外的影響力がぐっと増す。AIIBもドルに頼らなくても済む。

 IMFで拒否権を持つ米国の要求は金融市場の対外開放だ。中国は基本的に本土市場への外国人投資を禁止してきた。北京は渋った揚げ句、昨年11月に香港経由に限って上海市場への外国人投資を解禁した。外国投資家は値上がり益を稼いだ後、6月上旬に上海から一斉に資金を引き揚げた。

 株価が急落すると、信用買いの投資家は借金返済のために担保の株の投げ売りに追い込まれ、株価が暴落する。党中央はあわてて、追加利下げし、信用取引制限を緩和した。4日には証券業界が市場安定化基金設置を決め、人民銀行が基金に資金供給する。仮に下げ止まったとしても、バブルを温存させるのだから、次の暴落エネルギーがたまる。

 株暴落は党指令型経済の限界そのものだ。党による市場コントロールが続く限り、危機の収拾は困難に見える。世界最大の貿易国でのバブル崩壊、次もバブルという循環は国際経済を脅かし続ける。国際社会はギリシャばかりに目を向けず、習政権に対し、近い将来の人民元の変動相場制移行を含む抜本的な金融の自由化と改革を迫るべきだ。(編集委員 田村秀男)

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