【ボン(ドイツ西部)=宮下日出男、アテネ=内藤泰朗】欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、ギリシャの銀行が緊急支援を受ける際に差し出す担保の価値を引き下げることを決めた。銀行の資金繰りに影響を与える可能性がある。ただ、ECBはギリシャの銀行に対する緊急支援枠の規模について現状を維持することも決めた。
担保価値が引き下げられたことで、銀行側は追加の担保を差し出したり、支援を返済したりする必要がある。また、支援枠の上限を890億ユーロ(約12兆円)から引き下げなかったが、ギリシャ側の増額の要請にも応じなかった。
緊急支援枠は「ELA」と呼ばれ、各国の中央銀行が、国債などを担保に取ったうえで民間銀行に資金を融資する仕組み。ECBが認めなければ行えない。ECBは、ギリシャ国債と引き換えで低利融資を行う特例措置を停止しており、ギリシャの銀行にはELAが“命綱”となっている。
一方、ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は6日、パリで会談し、国民投票で欧州連合(EU)が求める財政再建策を拒否したギリシャへの対応を協議した。
オランド氏は会談後の共同記者会見で「対話の扉は開かれている」と強調。メルケル氏は「われわれは詳細な提案を待っている」と述べ、7日のユーロ圏財務相会議でギリシャのチプラス首相が示すとしている新たな提案を見極める考えを示した。
また、辞任したバルファキス財務相の後任に6日、チャカロトス外務副大臣が指名された。ロイター通信は同日、ギリシャ政府が国内銀行の営業停止を10日または13日まで延長すると報じた。