■政権維持には斬新な政策も必要に
6月末から7月にかけての各種メディアの世論調査によれば、軒並み安倍内閣の支持率が低下し、不支持率が上昇している。調査によっては、不支持率が支持率を上回る結果もあったようだ。主たる要因は集団的自衛権の行使などを中身とする安保施策への批判だ。
安倍首相の祖父である岸首相(当時)が日米安保条約改定を強行に進めた過去などになぞらえ、最近では「安倍首相は、何とか法案成立を果たし、よくも悪くも後世に名を残すことにはなるが、岸首相(当時)同様、騒ぎの責任を取って退陣せざるを得ないのではないか」という意見まで出始めている。
私は、結果として、そうはならないと考えているが、いずれにせよ、(1)党内・政権内マネジメント力(2)新たな政策のタマ-の2つが今後の鍵になると見ている。
かつてであれば、こうした政権への逆風状況に乗じて、「党内野党」とも言うべき他派閥から、すなわちリベラルを旨とする宏池会(現岸田派)などから、総理への批判が高まりそうなものだが、例えば9月の自民党の総裁選に安倍総裁への対抗馬が出てくるという動きは現時点では、ほぼ聞こえてこない。
その要因として、特に小選挙区制の導入後、構造的に首相(=自民党総裁)の公認権の強さがものを言うため、党内の他派閥の力が相対的に弱くなっていることが挙げられる。確かにその要因は小さくないが、私見では、意外と、安倍首相や首相を取り巻く政治家たちの「党内・政権内マネジメント能力」の高さが大きくものを言う気がしている。