【ソウル=名村隆寛】ロッテの創業者、重光武雄会長(92)が経営の第一線から事実上、引退することになった。長男の宏之氏(61)、次男の昭夫氏(60)の息子2人を中心に展開した創業者一族の“お家騒動”は、武雄氏の祖国、韓国で高い関心を集めている。
「兄弟衝突」「長男の反撃失敗」「一日天下に終わったクーデター」。武雄氏が、ロッテグループの日本事業の持ち株会社、ロッテホールディングス(HD)で代表権のない取締役名誉会長に就くことが発表された翌29日、後継をめぐる骨肉の争いは韓国でトップニュースとして報じられた。
韓国でロッテは、資産規模で財閥の第5位。創業者の武雄氏は、在日韓国人1世として日本で成功した立志伝中の人物として知られている。韓国での事業は1990年代から、次男で韓国ロッテグループ会長の昭夫氏が担っており、昭夫氏は韓国財界の著名人だ。
日本を担当していた宏之氏は今年1月、ロッテHDの副会長を解任され、今月15日に同HD副会長の昭夫氏が代表権を得た。韓国メディアでは、ソウルにいた高齢の父親を担ぎ出し“復権”を狙った兄、宏之氏の反撃を、韓国財界の重鎮である弟の昭夫氏が食い止めた-との見方が支配的だ。