16年1月にリスク
平和ボケ日本では一笑に付される恐れもあるが、「有事の際には日本人駐在員やその家族が“人質”になる危険性も排除できない」(立花氏)ことは確か。少なくとも経営者は最悪のシナリオを想定した事前対策が欠かせない。
直ちに差し迫った危機があるとはいえなくとも、立花氏は「16年に有事リスクがある」とみる。
16年1月には中国が自国領の一部と主張する台湾で総統選挙がある。対中融和策を取る現在の与党、中国国民党の候補が敗れ、野党の民主進歩党が政権奪回した場合、中台関係の行方が気がかりだ。
事実、中国の北京軍区の部隊が7月、内モンゴル自治区の市街戦訓練場で、台北の台湾総統府に酷似した建物を攻撃する軍事演習を行い、台湾側を威嚇した。攻撃部隊は敵側首脳の排除を意味する「斬首行動」に成功したという。
さらに来年11月の米大統領選で対中外交戦略をめぐる議論がどのような方向に向かうか。選挙結果によって緊張が高まる恐れも考えられる。