米国務省が毎年発表する世界の人身売買報告書で、日本は今年も技能実習制度が、強制労働の一因となっていると批判された。米国に日本を批判する資格があるのかと思わないわけではないが、同制度が一部で本来の目的から外れ、外国人労働者に低賃金・長時間労働を強いる仕組みになっているのは事実だ。
そもそも技能実習生は諸外国からみれば、期間限定の単純労働者以外の何者でもないが、単純労働者の受け入れを認めない日本は、あくまでも技能を学ぶための実習生という建前を崩さない。
なぜなら、移民につながる単純労働者の受け入れ問題は、日本では論議すること自体、容易ではないからだ。人権擁護やものわかりの良いようなことを言う人間に限って理想論は言うが現実には目をつぶる。
日本がこうした建前と理想を掲げながら、実際には単純労働者を受け入れ、しかも低賃金で重労働を強いている実態は諸外国からみれば偽善でしかない。そうした日本の本音と建前の隙間をついて増えているのが難民申請を使った就労だ。