環境省が国立・国定公園での地熱発電所の設置規制を緩和する方針を打ち出した。自然保護の所管官庁でありながら、再生可能エネルギーの普及加速は省を挙げての至上命令でもある。相反する2つの課題を前に出した結論は“聖地”を守りつつ規制緩和を強く求める事業者の顔も立てる苦肉の折衷案だった。
「再生エネの推進は温暖化対策として地球全体の課題だが、国立・国定公園は国民の宝だ。幅広い関係者に受け入れられる対応策が必要になる」。7月30日の有識者会議で、同省幹部は苦しい胸の内を吐露した。
区域外から斜め掘り
同省がこの日まとめた緩和策は、開発規制が厳しい「第1種特別地域」で地下に限って発電機を動かすための水蒸気を通す井戸の掘削を認めるというものだ。地上への発電施設など建物の設置は引き続き認めないため、区域外から第1種地域に井戸を斜めに掘る工法で開発することを許可する。