経済産業省は、周波数が異なる東日本と西日本の間で融通できる電力の容量を2020年代後半に2.5倍に拡大する計画の詳細を固めた。総工費は概算で1754億円を見込み、沖縄県を除く各地の電気料金に上乗せして回収する方針。容量の大幅な増加で、東日本大震災のような大規模災害で発電所が被災した際にも、電力不足が起きるのを防ぐ効果が期待される。
全国規模での電力融通を指揮する電力広域的運営推進機関(広域機関)が9月に基本計画をまとめる。東西で融通できる電力は現在、最大120万キロワットにとどまっているが、20年度を目標に長野県の新信濃FC(周波数変換設備)を増強し、210万キロワットに拡大する予定。
ただ、来年4月に電力の小売り全面自由化を控え、地域をまたぐ電力販売が広がる中、安定供給を保つには300万キロワット程度の容量が必要とされ、広域機関が整備計画を検討していた。
基本計画案では、佐久間FC(静岡県)の容量を30万キロワット、東清水FC(同)を60万キロワットの合計90万キロワット分を増強する。来年4月にも計画を正式決定し、10年程度で実現する。