20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が4~5日、トルコの首都アンカラで開かれる。会合に出席する麻生太郎財務相は1日の閣議後の記者会見で、「中国経済に何が起きているか率直な議論が行われるのが有益だと思う」と述べ、8月の世界同時株安の震源地となった中国経済について各国に議論を呼び掛ける考えを表明した。米国が秋以降に予定する利上げの影響も考慮し、世界経済の脆弱(ぜいじゃく)性に対する協調体制の構築が焦点となる。(米沢文)
1日の東京株式市場は、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が大幅に悪化したことを受け、全面安の展開となった。中国が人民元切り下げや株価対策、金融緩和策を打ち出したことで、世界同時株安はいったん沈静化したように見えたが、中国の実体経済の回復への道筋は見えておらず、「チャイナリスク」はくすぶり続けている。
麻生財務相は1日の会見で、「中国の具合が悪くなれば(中国への輸出依存度が高い)ドイツに影響が出る。欧州経済に大きな影響が出る確率は極めて高くなる」と指摘。「表面的な市場の動きにとらわれるのではなく、背景にある中国の構造的な課題を見極めるのが重要だ」とも述べ、中国の経済減速について各国と踏み込んだ意見を交わしたいとの考えを強調した。議論を通じて経済格差の是正、内需拡大などの構造改革を中国に求める声が出る可能性もある。